「がん」と言う病気の実態 〜あるゲイの場合〜
「4年前に、あなたから保険の提案を受けました。
ちょっとお時間いただけませんか?」
ゲイ男性Nさん(会社員、現在39才)から電話。
ウロ覚えだったが、会って思い出した。
オシャレな服装は変わらず、
4年前の超絶イケメンが、今日は土気色。
Nさんはうつむきながらポツリ、
「前立腺がん、ステージⅢと言われました」
Nさんが突然、土下座した。
「シュウさん、全国でもトップなんでしょ?
シュウさんの力で、
前から保険に入ってたことにできません?
お金、払います。
だから、だから、、、」
札束を出された。30万?50万?
そんなこと、デキる筈がない。
Nさんの加入保険は、
県民共済2口、勤務先の保険2口、
外貨建終身保険、
合計29,000円/月の支払。
なのに
今回もらえる保険金は¥0。
4年前が蘇った。
「保険なんか勤め先なら安いし、県民共済で十分。
病気になったら死ぬんで。ホモだしー」
何を言っても、聞く耳持たずの反応だったNさん。
この反応、LGBT、特にGは大半がこのケース。
LGBTは社会保障が弱い。
「そんなの知ってます」
「じゃぁ、対策立ててるの?」と聞けば
「今だけは特に、お金がなくて」
ブランド品に身を包みながら答えるG、
もう20人以上見ました(笑
LGBTは現実逃避しやすい、
私も同様です。
いくら逃げても、いつか現実はのしかかる、
雪だるま式に利息を増して。
って、あなたも気づいているはず。
その後、LINEで何度か連絡が来た。
休みがちで周囲に迷惑ばかり、
なんとなく会社に居づらくなり、
自主退職。
よって勤務先保険もなくなった。
数カ月後、
貯金が底をつき、東京の一人暮らしを辞め、
実家に帰り、親の僅かな年金に頼って治療。
がんになると
4人に1人は退職勧告を受ける。
3人に1人は減給。
というデータがある。
退職勧告は、最近減っている。
もちろん違法。
会社に残れば傷病手当(給与の2/3)もある。
しかし精神的に追い詰められるがん患者。
連日周囲に迷惑を掛けると思い、
自主的に退職する人は、今でも多い。
減給には、
休職による手当の削除、傷病手当もありますが、
簡易な仕事へ部署移動も有ります。
がんになると、身体の変調だけではなく、
お金と戦い、
食事などの日常生活が送れない。
理解されない孤独もある。
家族を持ちにくいLGBTにとって、
切実な問題なのを知って欲しいです。