ゲイの金融コンサルタントのぶっちゃけ日記

LGBTの社会保障。あまり語られてこなかった分野を、日本TOPレベルの金融コンサルタント&カウンセラーとして紹介します。 と言っても、好き勝手な人生を歩む中年オヤジなので、ゆる~く・のんびり・正直に書きます。

LGBTが孤独死すると

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孤独死過半数65歳以下。男性19%・女性28%は40代以下。

今日の主役は都内に1人暮しの女性:Sさん
28歳、ストレート。
「フツーの企業で、フツーのOLです」
と明るく快活な女性。
叔父:Gさん享年53歳がゲイ。


夏のある日、仕事中にSさんの携帯が鳴った。
大阪の警察から。
「あなたの母の弟、Gさんが亡くなりました。
身寄りはSさんだけです。
一度お越しいただけませんか?」

Sさんは一人っ子。早くに父、母を亡くした。
Gさんとの親交は殆どなかったが、
母の葬儀でGさんが親身に声を掛けてくれたのを覚えている。
 

遺体安置室で面談して、本人確認と言われても、
正直、顔もよく覚えていない。
「多分、叔父だと思います」

叔父の部屋に向かうパトカーの中で
事務的だった警察官も言い出しにくそう。
「部屋、、、見ま、す?、、、ひどいんです」
部屋の外でも異臭がわかる。
「業者に頼むこともできますから」
と警察官は、ドアを開けた。

夏の閉め切った部屋のムッとした空気と共に、
溢れかえるハエの群れ、強烈な異臭。
壁や天井にゴキブリ、床はウジ、ウジ、ウジ、ウジ。

悲鳴を上げるより早く、警察官がドアを閉めた。
賃貸マンションの大家に、清掃業者を依頼した。

Gさんは孤独死
心筋梗塞で突然死、夏の密室で2週間以上放置。
発見された時には、腐敗が進み、
体液は溢れ出て、黒いシミが畳を超えて床板まで。

相続放棄の案内も受けた。
大阪の土地勘もないし、葬儀の手順も知らない。
何より費用も心配。
しかしSさんは一切を引き受けた。
「身内が自分だけって知って、放っておけなくて」


東京に戻ってからが大変だった。
仕事中に警察、各業者、役所、裁判所からも電話。
その後、10回近く大阪まで通った。
移動費やホテル代も、20代のSさんには痛い。
「ほとんど夜行バスです(笑」

形だけの葬儀80万円は自分で支払った。
清掃・廃棄処分、フローリング交換、
合計280万円はマンション大家に支払い。
「事故物件になるやん」
とボッタくりなのはわかっていたが、
文句は言えない。。。

趣味のAV機器や腕時計は、ネットで調べると高値。
だが「匂いが染みついてる」とか何とか買い叩かれ。
それでも自動車は100万円で売却
生命保険も300万円

Sさんいわく
「収支はかろうじてプラス。
でも2,3ヶ月の土日はすべて返上。
毎晩調べごとして、有給使い切って。
手間を考えたら大損」


叔父の遺品を整理していたら、ゲイDVDがたくさん。
子供の頃、親族の集まりで、
いつも1人浮いていたGさんを思い出す。
母親もヨソヨソしかったので、何かあったんだろう。
今となっては、それさえ知る人は居ない。

会社に連絡しても、
弔問に来たのは上司と人事課の2人だけ。

スマホ履歴で、やり取りの多かった知人に連絡したが、
ほとんどの人は既読スルー。
たまにレスがあっても「覚えてません」ばかり。
「病気ですか?HIV?」やたらと死因を追求する返事もあった。
結局、友人の弔問は1人もいなかった。

Sさんは言った。
「これってセックスフレンドとか愛人ってことですか?
 Gさんの存在を、否定する人ばかり、
 ・・・本当にGさんは生きていたの?」



死去から4か月ほどして、1人の男性からメール。
詳しく名乗らないまま、
「お焼香させてほしい」
その方はわざわざ東京まで来た。

Sさんは意を決して聞いた。
「Gはゲイだったようです。
何でもいいです、ご存じなら教えてください」
その男性は、しばらく黙って
「以前、Gと同棲していたんです
Gさんが
 料理好きで味が濃いこと、
 吉本より東京のお笑いが好きなこと、
 多少は隠れて遊んでいたこと、
など淡々と語ってくれた。
Gさんが生きていた証、Sさんは初めて得ることができた。



「自由に生きるのは勝手だけど、勝手に死なないで」
とSさんは言った。
一方、LGBTからよく聞かれるのが、
「ゲイだから自分が死んでも関係ない」
正反対だな、と思ったのが印象的。

『自由=最後まで責任を持つ』
それができないと
あなたの甥や姪に迷惑がかかるのが現実。

数十年後、Gさんが、
あなたでも、私でもないことを祈ります。